行政書士講座(民法)

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5A 民   法 (契約の成立、契約の効力、契約の解除、定型契約)
関連過去問 3-30-13-30-43-30-54-31-14-31-24-31-34-31-44-31-58-31-18-31-28-31-38-31-411-31-111-31-211-31-311-31-418-31-ア18-31-イ18-31-オ19-33-ア19-33-イ19-33-ウ19-33-エ19-33-オ21-30-イ22-31-123-32-325-29-225-29-525-31-ア25-31-イ25-31-ウ25-31-オ26-32-エ27-32-227-32-427-32-5令2-32-1令2-32-2令2-32-5令3-27-4令3-33-ア
関連条文 契約の締結及び内容の自由(521条)、契約の成立と方式(522条) 承諾の期間の定めのある申込み(523条)、遅延した承諾の効力(524条)、承諾の期間の定めのない申込み(525条)、
 申込者の死亡等(526条)、承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期(527条)、申込みに変更を加えた承諾(528条)
 同時履行の抗弁(533条)、債権者の危険負担等(536条)、第三者のためにする契約(537条)、第三者の権利の確定(538条)、債務者の抗弁(539条) 
 解除権の行使(540条)、催告による解除(541条)、催告によらない解除(542条)、
債権者の責めに帰すべき事由による場合(543条)、解除権の不可分性(544条)、解除の効果(545条)、契約の解除と同時履行(546条)、催告による解除権の消滅(547条)、解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅(548条) 
 定型約款の合意(548条の2)、定型約款の内容の表示(548条の3)、定型約款の変更(548条の4)







0 契約一般
 民法上の主な典型契約(民法によって名称と名前が規定されている契約)
契約名 双務か片務か 諾成か要物か 有償か無償か 解除の遡及効
贈 与 片務 諾成 無償 有り
売 買 双務 諾成 有償 有り
交 換 双務 諾成 有償 有り
消費貸借 片務 要物
(書面でする消費対策等(587条の2)は諾成)
無償(特約あれば有償) 有り
使用貸借 片務 諾成(法改正) 無償 なし(解釈上)
賃貸借 双務 諾成 有償 なし
雇 用 双務 諾成 有償 なし
請 負 双務 諾成 有償 有り
委 任 片務(双務もある) 諾成 無償(特約あれば有償) なし
寄 託 片務(双務もある) 諾成(法改正) 無償(有償もある) なし
和 解 双務 諾成 有償 有り
 双務:当事者双方が対価的な債務を負担する。
 片務:片方のみが債務を負担する、あるいは双方が債務を負担するが、対価的にはなっていない。
 諾成:当事者間の意思が合致するだけで成立する。
 要物:当事者間の意思の合致のほか、物の引き渡しその他の給付があって初めて成立する。(契約成立後に引き渡しなどを行うのではない)
3
30
4
 請負は、雇用と同じく両当事者の合意によって成立する諾成契約である。(基礎)@

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正しい 誤り
3
30
5
 委任は、有償が原則であるが、無償であることを妨げない。(基礎) @

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正しい 誤り
































1.契約の成立
 契約の締結及び内容の自由(521条)法改正(R02.04.01新規)
 「何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる」
 「2項 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる」
 契約の成立と方式(522条)法改正(R02.04.01新規)
 「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」
 「2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない」
 承諾の期間の定めのある申込み(523条)法改正(R02.04.01、1項ただし書き追加)
 「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない」
 「2項 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う」
 改正点とポイント
@1項:承諾の期間を定めてした申込みは、承諾期間までは、申込者に拘束力を課し、撤回することはできない。ただし、申込者が撤回権の留保を意思表示した場合は例外であることをただし書きで追加。
A2項(改正なし):承諾期間内に、承諾の通知を受けなかった場合は、申込みの効力を失う。
B承諾の通知が延着した場合、通知の効果はない(旧522条の発信主義を削除) すなわち、「契約の成立は到達主義」の立場を明確に。
 ただし、524条により、「遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる」
 承諾の通知の延着(旧522条)法改正(R02.04.01削除)
 「前条1項の申込みに対する承諾の通知が同項の期間の経過後に到達した場合であっても、通常の場合にはその期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延着の通知を発しなければならない。
 ただし、その到達前に遅延の通知を発したときは、この限りでない」
 遅延した承諾の効力(524条)
 「申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる」
 承諾の期間の定めのない申込み(525条)法改正(R02.04.01)
 「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない」
 「2項 対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる」
 「3項 対話者に対してした1項の申込みに対して対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後もその申込みが効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない」
 改正点とポイント
@1項:「隔地者に対して(した申込み)」を削除。ただし、2項、3項に「対話者」とあるので、1項は時間的に離れている者が対象である。
・「相当な期間」とは、かなりの期間という意味ではなく、その状況に応じたそれなりの期間のこと。
・また、1項に、ただし書きを追加。
A2項、3項は新規:「対話者」とは意思の疎通に時間がかからない者どうしのことで、文字通りの対面交渉者者だけでなく、電話交渉なども含まれる。
・対話が続いている限り、申込者はその場で撤回できる。
・対話が続いている間に、相手側から承諾が得られなかった場合は、原則として、申込みは効力を失う。
 申込者の死亡等(526条)法改正(R02.04.01、旧525条と旧526条を削除し、全面書き換え)
 「申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない」
 改正点
@旧525条「旧97条2項(現97条3項)の規定(改正前であるから隔地者のみ適用)は、申込者が反対の意見を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の行使喪失の事実を知っていた場合には、適用しない(すなわち、意思表示は有効)」を削除し書換え。
A旧526条1項「隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する」は削除(到達主義の徹底)、同2項は527条へ移動。
ポイント
@(契約の)申込みの通知であろうと、97条3項「意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」のが原則である。
A上記の原則にも関わらず、「申込の通知」に限って、通知(申込)の効力に関して例外を認めた。
 例外が認められるのは、「申込者が申込みの通知を発した後に、死亡、意思能力の喪失、行為能力の制限を受けた場合」にあって、
・申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していた(そのような状態になったときは、申込はなしにしてくれと意思表示していた)
・相手方が、承諾の通知を発するまでに、その事実が生じたことを知ったときは
 「その申込は効力を有しない」
 承諾の通知を必要としない場合における契約の成立時期(527条)法改正(R02.04.01、旧527条(申込の撤回の通知の延着」を削除し、旧526条2項を本条に)
 「申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する」
 申込みに変更を加えた承諾(528条)
 「承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす」
4
31
3
 承諾の期間を定めて契約の申込みをしたときは、承諾の通知を受けるまでは申込を撤回することができる。(基礎)@

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正しい 誤り
4
31
1
 承諾の期間を定めて契約の申込みをした場合において、その期間内に承諾の通知が発したときは、到達がその期間の経過後であっても、契約は成立する。(R02改)@

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正しい 誤り
4
31
4
 承諾に期間を遅延した承諾は、申込者において新たな申込とみなすことができる。(基礎)@

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正しい 誤り
4
31
2
 承諾の期間を定めないで、契約の申込みをしたときは、いつでも申込みを撤回することができる。(基礎)(R02改)@

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4
31
5
 承諾者が契約の申込みに条件をつけ、またはその他の変更を加えて承諾したときは、その申込みを拒絶したことにはならない。(基礎) @

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19
33
 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。
 Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、 知り合いの法律家Cに次のような相談を持ちかけた。
 「私は、申込みの書面を発送した直後に気が変わり、今は別の車を買いたいと思っています。
 Bが承諾の意思表示をする前に申込みを撤回すれば、契約は成立しなかったということになるでしょうか」
 これに対し、Cは「はい、その通りです」と答えてよい。@

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正しい 誤り
19
33
 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。
 Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、 知り合いの法律家Cに次のような相談を持ちかけた。
 「Bの承諾の通知は8月28日に郵送されてきました。私の不在中に配偶者がそれを受け取り私のひきだしにしまい込みましたが、そのことを私に告げるのをうっかり忘れていましたので、私がその通知に気がついたのは9月20日になってからでした。
 私は、Bが車を売ってくれないものと思って落胆し、すでに別の車を購入してしまいました。
 もう、Bの車は要らないのですが、それでもBとの売買契約は成立したのでしょうか」
 これに対し、Cは「はい、その通りです」と答えてよい。@

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19
33
 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。
 Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、 知り合いの法律家Cに次のような相談を持ちかけた。
 「Bからは8月末を過ぎても何の通知もありませんでしたが、期間を過ぎた以上、契約は成立したと考えるべきでしょうか。実は最近もっとよい車を見つけたので、そちらを買いたいと思っているのですが」
 これに対し、Cは「はい、その通りです」と答えてよい。 @

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正しい 誤り
19
33
 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。
 Aは、その際、承諾の意思表示について「8月末日まで」と期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、知り合いの法律家Cに次のような相談を持ちかけた。
 「Bには、「8月末日までにご返事をいただきたい」と申し入れていたのですが、Bの承諾の意思表示が私に到着したのは9月2日でした。消印を見るとBはそれを9月1日に発送したことがわかりました。
 そこで私は、これをBから新たな申込みがなされたものとみなして承諾したのですが、契約は成立したと考えてよいでしょうか」
 これに対し、Cは「はい、その通りです」と答えてよい。 (4-31-1の応用)@

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19
33
 AはBから中古車を購入する交渉を進めていたが、購入条件についてほぼ折り合いがついたので、Bに対して書面を郵送して購入の申込みの意思表示を行った。
 Aは、その際、承諾の意思表示について 、8月末日までと期間を定めて申し入れていたが、その後、契約の成否について疑問が生じ、知り合いの法律家Cに次のような相談を持ちかけた。
 「Bは、「売ってもよいが、代金は車の引渡しと同時に一括して支払ってほしい」といってきました。Bが売るといった以上、契約は成立したのでしょうが、代金一括払いの契約が成立したということになるのでしょうか。実は私は分割払いを申し入れていたのですが」
 これに対し、Cは「はい、その通りです」と答えてよい。 @

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令3
27
4
 意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けないが、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。  

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2.契約の効力
2.1 同時履行の抗弁(533条)法改正(R02.04.01)
 「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない」
 改正点
・「(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む」を追加。(従来からの解釈が明文化した)
 たとえば、売主が引渡しに代わる損害賠償債務を負った場合、これを履行するまでは、買主は代金支払債務を拒むことができる。
 同時履行の抗弁権が成立するための要件
@同一の双務契約により双方に債務があること
A相手方の債務が弁済期にあること(まだ弁済期にないときは、相手方からの提供を要求して、自分の債務の履行を拒むことはできない。
 一方、当方の債務が弁済期にない場合は、当然に、相手方からの請求に応じる必要はない)
B相手方が、相手方の債務の履行をしないのに、当方の債務を履行せよと請求してきたこと。
2.2 債権者の危険負担等(536条)法改正(R02.04.01)
 「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」
 「2項 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。
 この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない」
 改正点とポイント
(1)債権者とは、履行不能になった目的物に対していう。
 よって、売買契約の場合は買主が債権者、売主が債務者である。
(2)1項の改正点:
@「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務不能にときは」
・改正前は「債務者は反対給付を受ける権利を有しない」(債務者負担主義)としていたが、
 改正後は、「債権者は反対給付の履行を拒むことができる」(履行拒絶権構成)に。
 つまり、「危険負担制度」を「債務者(売主)の反対給付債権(代金支払い請求権)の消滅」のためのものではなく、「債権者(買主)に反対給付債務(代金支払い債務)の履行拒絶権を与える」ためのものとした。 
Aよって、改正後は、「反対給付債務を消滅させる必要がある場合は、債権者は契約解除の意思表示をしなければならない」ことに。
(2)2項の改正点
@「債権者の責めに帰すべき事由によって履行不能になったときは」
・改正前は、「債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」から、改正後は、「債権者は反対給付の履行を拒むことができない」に
 つまり、債権者に帰責事由がある場合は、「債務者(売主)の反対給付債権(代金支払い請求権)は存続する」(債権者負担主義)だけでなく、「債権者(買主)はこれを拒むことができない」
・ただし書き部分に改正はない。
⇒2項については、本質的な内容変更はないと考えてよい。
(3)関連改正点
@旧534条:改正前は、「特定物の売買などにおいて、債務者(売主)の責任でなくて滅失、損傷して履行不能になった場合、それによる損害は、債権者(買主)が負担する」(債権者負担主義)(
 すなわち、債務者の引渡し義務がなくなっても、代金請求権すなわち債権者の支払い義務は残るとしていた。
A旧535条:改正前は、「停止条件付双務契約において、特定物に関する物権の設定又は移転であって債務者の責任によらない事由でかつ条件の正否が未定である間に滅失した場合は、債務者(売主)の引渡し義務がなくなるが、代金請求権も無くなる(1項)。また、停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰することができない事由によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する」としていた。
⇒これらの規定は、いずれも廃止となり、今後は536条による。
 危険負担のまとめ
帰責
事由
改   正   後 改 正 前
双方になし ・債権者の反対給付債務は、当然には消滅しない。ただし、債権者は、履行を拒絶することができる。(536条1項)
・債権者が契約の解除をすれば、反対給付債務は消滅する。(542条1項1号)
債権者の反対給付債務は、当然に消滅する(改正前536条1項)
債権者にあり ・債権者の反対給付債務は消滅せず、履行の拒絶もできない。
 ただし、債務者は、自己の債務を免れたことによって得た利益を債権者に償還する必要がある。(536条2項)
・債権者は、原則として、契約の解除ができない。(543条)
同左(改正前536条2項)
債務者にあり ・債権者の反対給付債務は、当然には消滅しない。
・債権者が契約の解除をすれば、反対給付債務は消滅する。(542条1項1号)
同左(改正前543条)

 債権者の危険負担(旧534条)法改正(R02.04.01削除)
 「特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する」

 停止条件付双務契約における危険負担(旧535条)法改正(R02.04.01削除)
 「前条の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない」
2.3 第三者のためにする契約(537条)
 「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する」
⇒保険金の受取人を妻(第三者)にすると契約した場合は、妻が保険会社に保険給付を請求できる
 「2項法改正(R02.04.01新規) 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない」「 
 「3項 (2項から3項に) 1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する」
 第三者の権利の確定(538条)
 「前条(第三者のためにする契約)の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない」
 「2項法改正(R02.04.01新規) 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条1項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない」 
 債務者の抗弁(539条)
 「債務者は、537条1項の契約に基づく抗弁をもって、その契約の利益を受ける第三者に対抗することができる」
11
31
1
 同時履行の抗弁権は、公平の観点から認められ、間接的に相手方の債務の履行を促す機能を果たす。(基礎) @

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正しい 誤り
8
31
1
 同時履行の抗弁権は、留置権と同様に公平の観念に基づくものであるので、何人に対してもこれをもって対抗することができる。(11-31-1の応用)@

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正しい 誤り
25
29
2
 Aが自己所有の事務機器甲をBに売却する旨の売買契約が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、同時履行の抗弁権を行使してこれを拒むことができる。(8-31-1の応用)@

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正しい 誤り

2
32
 双務契約が一方当事者の詐欺を理由として取り消された場合においては、詐欺を行った当事者は、当事者双方の原状回復義務の履行につき、同時履行の抗弁権を行使することができない。

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正しい 誤り
8
31
2
 双務契約の債務の内容が、債務者の責めに帰すべき事由により履行が不能となり、損害賠償債務に転化した場合は、同時履行の抗弁権は消滅する。@

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正しい 誤り













18
31
 A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった。
 この場合、BからAに対して上記建物についての売買代金の支払請求があった場合に、Aは、Bに対して同時履行の抗弁権を主張して代金の支払いを拒むことができる。@
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正しい 誤り
27
32
2
 AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする)において、Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。
 翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。@

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正しい 誤り

2
32
5
 売買契約の買主は、売主から履行の提供があっても、その提供が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。(27-32-2の類型)

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27
32
5
 AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする)に関して、履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。@

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11
31
2
 同時履行の抗弁権は、双方の債務が弁済期にあれば、弁済期の先後を問わず、これを行使することができる。(基礎) @

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8
31
3
 同時履行の抗弁権を行使するためには、双方の債務の弁済期が、同じである必要がある。(11-31-2の類型)@

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8
31
4
 借地人が建物の買取請求権を行使した場合は、建物だけでなくその敷地の引渡しについても同時履行の抗弁権が及ぶ。(難問)@

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11
31
3
 双務契約の当事者の一方が訴訟をもって債務の履行を請求した場合に、相手方から同時履行の抗弁の提出があったときは、原告の債務の履行と引換えに被告に債務の履行を命ずる旨の判決がなされる。@

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32
2
 家屋の賃貸借が終了し、賃借人が造作買取請求権を有する場合においては、賃貸人が造作代金を提供するまで、賃借人は、家屋の明渡しを拒むことができる。

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3
30
1
 令和2年の民法改正前においては、特定物売買における危険負担については、債務者主義を採用していた。 (R02改)@

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3
33
 Aが甲建物をBに売却する旨の売買契約に関して、甲建物の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。

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正しい 誤り
18
31
 A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった。この場合、この建物は、Bの責めに帰すことができない事由により焼失したので、危険負担に関し建物の滅失についてはAの負担に帰する。@

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正しい 誤り
18
31
 A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった。
 この場合、Aは、Bに対して代金の支払いを免れることはできないが、Cに対して不法行為を理由として損害賠償請求をすることができる。@

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契約上の地位の移転 3.契約上の地位の移転(539条の2) 法改正(R02.04.01新規)
 「契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する」


・「契約上の地位の移転」は、実務ではよく用いられているが、明文上の規定がなかったことから、539条の2が新設された、る。
@「契約上の地位の移転」は、債権譲渡や債務引受と異なって、解除権や取消権などを行使できる地位を含めて、契約上の地位自体が、譲渡人から譲受人に移転する。
A要件は、契約の当事者の一方である契約上の地位の譲渡人と第三者である譲受人との間で合意がありかつ、契約の相手方がその譲渡を承諾すること。、
B賃貸人による地位の譲渡の場合は 賃借人の同意は不要であるとする例外規定が605条の3にある。
26
32
 売主の地位や買主の地位の譲渡は、当該売買契約の相手方の承諾がないときは、その相手方に対して効力を生じない。@
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正しい 誤り












4.契約の解除
 解除権の行使(540条)
 「契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする」
 「同2項 前項の意思表示は、撤回することができない」
 催告による解除(541条)
 「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
 ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」

@改正点は、
・タイトルを「履行遅滞等による解除権」から「催告による解除」に
・後段に「ただし書き」を追加
A改正前の「履行遅滞等による解除権」は、履行しないことに対する責任追及の手段であったが、改正後の「催告による解除」では、債権者が契約前に復帰する(債権者の義務から解放される)手段として位置付けられるようになった。
 よって、債務者の帰責事由を解除の要件とはしない
 催告によらない解除(542条)法改正(R02.04.01、1項修正、2項追加)
 「次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる」
@債務の全部の履行が不能であるとき。
A債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
B債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
C契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
D前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
 「2項 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる」
@債務の一部の履行が不能であるとき。
A債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

(1)1項の@、B、2項の@は旧543条と同じ。
(2)債務の一部が履行不能の場合は
・残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき:全部解除
・残存する部分のみでも契約をした目的を(ある程度)達することができるとき:一部解除
(3)債務者の帰責事由は解除の要件とはしない
 履行不能による解除権(旧543条)法改正(R02.04.01削除)
 「履行の全部又は一部が不能となったときは、債権者は、契約の解除をすることができる。
 ただし、その債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」

 債権者の責めに帰すべき事由による場合(543条)法改正(R02.04.01タイトル変更、修正)
 「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない」
 解除権の不可分性(544条)
 「当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる」
 「同2項 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する」
 チョッと補足
@各自の負担部分だけ解除することは認められない。(ただし、全員が特約で認めたときはこの限りでない)
A解除の意思表示が全員に到達したとき、又は全員の意思表示が到達したときに、解除となる。
B一人が解除権を放棄して消滅した場合は、全員の解除権も消滅する。
 解除の効果(545条)
 「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない」
 「同2項 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない」

 「同3項 法改正(R02.04.01新設)第1項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以外に生じた果実をも返還しなけれならない」 
 「同4項 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」
 契約の解除と同時履行(546条)
 「533条(同時履行の抗弁)の規定は、前条の場合について準用する」
 催告による解除権の消滅(547条)
 「解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する」
 解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅(548条) 
 「解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し、若しくは返還することができなくなったとき、又は加工若しくは改造によってこれを他の種類の物に変えたときは、解除権は、消滅する。ただし、解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは、この限りでない」












21
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  CはDとの間で、C所有の自動車を、代金後払い、代金額150万円の約定でDに売却する契約を締結した。Cは自動車の引き渡しを完了したが、代金支払期日を経過してもDからの代金の支払いがない。そこでCはDに対して相当の期間を定めて代金を支払うよう催告したが、期日までに代金の支払いがない。
 この場合、C・D間の売買契約は法律上当然に効力を失う。(基礎)@

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正しい 誤り
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 AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする)において、履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金の支払を拒んだ場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。(21-30-イの類型)@

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正しい 誤り
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 Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡し期日が到来してもAはBに建物を引き渡していない。Bが、期間を定めずに催告した場合、Bは改めて相当の期間を定めて催告をしなければ、当該売買契約を解除することはできない。(21-30-イの応用)

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正しい 誤り
25
31
  AとBが、その共有する建物をCに売却する契約を締結したが、その後、AとBは、引渡し期日が到来してもCに建物を引き渡していない。Cが、当該売買契約を解除するためには、Aに対してのみ解除の意思表示をするのでは足りない。@

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正しい 誤り
催告によらない解除 23
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 賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。(発展)@

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正しい 誤り
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31
 Aが、その所有する建物をBに売却する契約を締結したが、その後、引渡しまでの間にAの火の不始末により当該建物が焼失した。Bは、引渡し期日が到来した後でなければ、当該売買契約を解除することができない。@

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正しい 誤り













25
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 Aが自己所有の事務機器甲をBに売却する旨の売買契約が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。
 Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、Bが売買代金を支払わないことを理由にAが本件売買契約を解除(債務不履行解除)したとしても、Aは、Cからの所有権に基づく甲の引渡請求を拒むことはできない。 @

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正しい 誤り
25
31
 Aが、B所有の自動車をCに売却する契約を締結し、Cが、使用していたが、その後、Bが、所有権に基づいてこの自動車をCから回収したため、Cは、A・C間の売買契約を解除した。この場合、Cは、Aに対しこの自動車の使用利益(相当額)を返還する義務を負う。@

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正しい 誤り
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 私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となった。このたび、BがAの債務不履行を理由として売買契約を解除した。
 Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張している。これに対して私は保証債務の履行を拒むことができる。(発展)@

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正しい 誤り
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4
 同時履行の抗弁権は、双務契約上の債務の履行については行使することができるが、契約の解除による原状回復義務の履行債務については行使することができない。(応用)@

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正しい 誤り


















5.定型契約
 定型約款の合意(548条の2)法改正(R02.04.01新設)
 「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という)をした者は、次に掲げる場合には、定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう)の個別の条項についても合意をしたものとみなす」
@定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
A定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。
 「2項 前項の規定にかかわらず、同項の条項のうち、相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして1条2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす」
 定型約款の内容の表示(548条の3)法改正(R02.04.01新設)
 「定型取引を行い、又は行おうとする定型約款準備者は、定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、この限りでない」
 「2項 定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。ただし、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」
 定型約款の変更(548条の4)法改正(R02.04.01新設)
 「定型約款準備者は、次に掲げる場合には、定型約款の変更をすることにより、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる」
@定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき。
A定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。