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民  法 (時 効)

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1.総則
1.1 時効の効力(144条)
 「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」、

@消滅時効の場合:起算点は「権利を行使できることができる時点」(166条)
 起算点から、権利・義務はなかったことになる。
A取得時効の場合:起算点は「時効開始の事実が発生した時点(通常は、占有を開始した時点)」
 起算点から、権利を有していたことになる。(果実も含めて)
 時効の援用(145条) 法改正(R02.04.01)
 「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」
改正点
・(  )を追加。こちらを参照

@時効の援用とは、時効が成立したときに、それによって得ることのできる利益を主張すること。
 たとえば、「時効だからもう払わないよ」ということ。
A「裁判所がこれによって裁判をすることができない」とは、たとえば、裁判上の争点となっている権利が時効により消滅となることを裁判所は知っているが、当事者がそれを援用しなければ、裁判所はその権利は存在するものとして裁判を行うしかない。
B時効の援用は、裁判上であろうと裁判外であろうと、援用当事者であれば、これをすることができる。
C時効を援用できるのは当事者だけ
C-1「消滅時効」の場合
・法改正により、消滅時効の場合の「当事者」とは、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者と明記された。それ以外に
・判例により当事者と認められた例:再売買の予約がなされ仮登記された不動産の第三取得者と抵当権者。詐害行為の受益者など。
・判例により当事者と認められなかった例:債務者・物上保証人の一般債権者。後順位抵当権者。債権者代位権の第三債務者。表見相続人からの第三取得者など
C-2「取得時効」の場合
・条文上の明記はないが、「時効によって直接利益を受けるべき者とその承継人、(連帯)債務者、(連帯)保証人、物上保証人、抵当不動産の第三取得者など)などとされてきた。それ以外に、
・判例により当事者と認められた例:賃借権者。地上権者など。
・判例により当事者と認められなかった例:家屋賃借人(土地所有権の取得時効の場合)。表見相続人(相続財産の所得時効の場合)。
 時効の利益の放棄(146条)
 「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」

・時効利益の放棄とは、時効の完成によって利益を受ける者が、それをいらないと放棄すること。
・時効利益の放棄は相対効。つまり、時効を援用できる者が複数いる場合に、一人が時効利益を放棄しても、他の者はそれに関係なく時効を援用できる。
・時効完成後であってもこれを援用しないで、借金の一部を返したり、返済をもう少し待ってくれなどというと、時効利益を放棄したとみなされる。




02
28
1
 時効による権利の取得又は消滅は、時効が完成した時から、その効力を生ずる。 (基礎)@
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正しい 誤り
7
28
4
 取得時効においては、時効期間中に目的物に生じた果実は、時効取得者に帰属する。(基礎)@
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正しい 誤り


27
 時効による債権の消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときにはじめて確定的に生ずるものである。(発展)@
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正しい 誤り




























02
28
4
 当事者が時効を援用しなくても、時効完成が明らかであれば、裁判所は、これを前提として裁判をすることができる。 (基礎)@
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正しい 誤り


27
 時効の援用を裁判上行使する場合には、事実審の口頭弁論終結時までにする必要がある。(難問)@
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正しい 誤り
19
28
3
  時効の援用は、はじめに遡って権利の得喪の効果を生じさせるものであるとの説明は、「時効とは、取得時効が成立した場合には無権利者であった者に権利を取得させ、消滅時効が成立した場合には真の権利者の権利を消滅させる制度である」とするいわゆる実体法説と矛盾する。(発展) @
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正しい 誤り
19
28
 時効の援用は、時効の効果が道徳に反する面があるため、それによる利益を受けるかどうかを当事者の良心にゆだねたものであるとの説明は、「時効とは、取得時効が成立した場合には無権利者であった者に権利を取得させ、消滅時効が成立した場合には真の権利者の権利を消滅させる制度である」とするいわゆる実体法説と矛盾する。 (発展)@
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正しい 誤り
19
28
5
 時効の援用は、法定の停止条件であるとの説明は、「時効とは、取得時効が成立した場合には無権利者であった者に権利を取得させ、消滅時効が成立した場合には真の権利者の権利を消滅させる制度である」とするいわゆる実体法説と矛盾する。 (発展)@
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正しい 誤り
19
28
2
 時効の援用は、民事訴訟法上の弁論主義から求められるものであるとの説明は、「時効とは、真に権利を有する者または真に義務を負わない者が、長期間の経過によってそのことを証明できないことにより不利益を被ることのないよう救済するための制度である」とするいわゆる訴訟法説と矛盾する。(発展) @
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正しい 誤り
19
28
4
  時効の援用は、権利関係を証明するための法定証拠を提出する行為であるとの説明は、「時効とは、真に権利を有する者または真に義務を負わない者が、長期間の経過によってそのことを証明できないことにより不利益を被ることのないよう救済するための制度である」とするいわゆる訴訟法説と矛盾しない。(発展)@
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正しい 誤り






21
28
B
 私は築25年のアパートを賃借して暮らしています。このアパートは賃貸人の先代が誤って甲氏の所有地を自己所有地と認識して建ててしまったものですが、これまで特に紛争になることもなく現在に至っています。
 このたび、甲氏の相続人である乙氏が、一連の事情説明とともにアパートからの立ち退きを求めてきました。
 私は賃貸人が敷地の土地を時効取得したと主張して立ち退きを拒否することができると思う。@
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正しい 誤り
25
32
 Aが、B所有の甲土地についての正当な権原に基づかないでその地上に乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいて乙建物をCに使用させている。この場合において、乙建物建築後20年が経過したときには、Cは、Bに対して甲土地にかかるAの取得時効を援用することができる。 (21-28-Bの類型)@
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正しい 誤り




令元
27
 被相続人の占有により取得時効が完成していた場合に、その共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。@
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正しい 誤り


















28
27


 AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合において、Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、同不動産をBから取得したGは、甲債権が消滅すれば抵当権の負担を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。@
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正しい 誤り


27
 保証人や連帯保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することはできるが、物上保証人や抵当不動産の第三取得者は、被担保債権の消滅時効を援用することはできない。 (基礎)@
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正しい 誤り
21
28
D
 私は他人にお金を貸し、その担保として債務者の所有する土地・建物に2番抵当権の設定を受けています。このたび、1番抵当権の被担保債権が消滅時効にかかったことがわかったのですが、私は、私の貸金債権の弁済期が到来していない現時点において、この事実を主張して、私の抵当権の順位を繰り上げてもらうことができる。(発展)@
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正しい 誤り
23
28
5
 乙建物について先順位抵当権者Aの被担保債権につき消滅時効が完成した場合、かかる債権の消滅により後順位抵当権者Bは順位上昇の利益を享受することができるため、Bもその時効を援用することができる。(21-28-Dの類型)@
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正しい 誤り
28
27
 AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合において、Aが甲債権の担保としてB所有の不動産に抵当権を有している場合、Aの後順位抵当権者Fは、Aの抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当しないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。(21-28-Dの類型)@
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正しい 誤り
28
27
 AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合において、Aが甲債権の担保としてC所有の不動産に抵当権を有している場合、物上保証人Cは、Aに対して債務を負っていないが、甲債権が消滅すれば同不動産の処分を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。@
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正しい 誤り
28
27
 AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合において、甲債権のために保証人となったDは、甲債権が消滅すればAに対して負っている債務を免れる地位にあるため、甲債権につき消滅時効を援用することができる。@
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正しい 誤り
28
27
 AのBに対する甲債権につき消滅時効が完成した場合において、Bの詐害行為によってB所有の不動産を取得したEは、甲債権が消滅すればAによる詐害行為取消権の行使を免れる地位にあるが、このような利益は反射的なものにすぎないため、甲債権につき消滅時効を援用することができない。@
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正しい 誤り
免責許可

27
  主たる債務者である破産者が免責許可決定を受けた場合であっても、その保証人は、自己の保証債務を免れるためには、免責許可決定を受けた破産者の主たる債務について、消滅時効を援用しなければならない。 (発展)@
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正しい 誤り






7
28
3
 時効完成後に、時効の利益を放棄することは許されるが、時効完成前にあらかじめ時効の利益を放棄することは許されない。(基礎)@
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正しい 誤り
13
29
4
 AはBから1000万円借り受け、Aの依頼によってCおよびDがこの債務について連帯保証人となった。
 この債権の時効完成後、Aが「必ず弁済します」という証書をBに差し入れて時効の利益を放棄した場合、CもDもこの債権の消滅時効を援用することができなくなる。@
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正しい 誤り













































1.2 時効の完成猶予・更新
 裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新(147条) 法改正(R02.04.01)
 「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない」
@裁判上の請求
A支払督促
B民事訴訟法による和解又は民事調停法若しくは家事事件手続法による調停
C破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
⇒破産手続参加は破産法、再生手続参加は民事再生法、更生手続参加は会社更生法に基づき、債権者が参加の届出を出すこと。
⇒「確定判決と同一の効力を有するもの」とは、
・和解・請求の放棄又は任諾調書への記載(民事訴訟法267条)
・支払督促の確定(民事訴訟法396条)
・調停調書の記載(民事調停法16条、家事審判法21条)
・仲裁判断の確定(仲裁法45条)
・破産債権表への記載(破産法124条3項、221条)などなど。
 「同2項 法改正(R02.04.01追加)前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める」
 改正点
@改正前はタイトルが「時効の中断事由」であり、中断事由は、・請求、・差押え。仮差押え又は仮処分、承 認
・改正後は、裁判上の請求、支払督促、和解、調停、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加は時効の完成猶予に
・改正前にあった差押えは148条へ、仮差押え又は仮処分は149条へ、承認は152条
A2項を新設し、確定判決等によって権利が確定したときは、時効の完成猶予から更新に進む
 すなわち、改正前の「時効の中断」は完成猶予と更新の2段階(又は完成猶予のみ)


@時効の完成猶予の場合は、時効が完成すべき時がきても、猶予の事由が終了するまで(権利が確定することなく事由が終了した場合は、終了の時から6か月を経過するまで)は、時効は、完成しない」
 完成猶予の事由とは、権利行使の意思が明らかになったと認められる事由。
A時効の更新の場合は、進行していた時効期間がリセットされ、あらたにゼロからスタートする。
 更新の事由とは、権利の存在が確たるものとして認められる事由。
 強制執行等による時効の完成猶予及び更新(148条)法改正(R02.04.01)
 「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない」
@強制執行
A担保権の実行
B民事執行法に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
C民事執行法に規定する財産開示手続
 「同2項 法改正(R02.04.01追加)前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない」
 改正点
旧147条2号前段の「時効は差押えによって中断する」とあったのを全面書き替え
・強制執行、担保権の実行等の事由に対して、裁判上の催告と同様な効果を認め、その事由が終了するまでは時効は完成しないとした。
・2項は、事由が終了した時において、権利が満足されない場合は、時効の更新となることとした。
 仮差押え等による時効の完成猶予(149条)法改正(R02.04.01)
 「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」
@仮差押え
A仮処分
改正点
旧147条2号後段の「時効は仮差押え、仮処分によって中断する」とあったのを全面書き替え
・仮差押え、仮処分は、その後の強制執行等のための本案手続きを予定する暫定的性格をもつものであるから、時効の完成猶予のみを規定した。
 時効の更新は、その後に続く本案の確定判決によって発生する。
 催告による時効の完成猶予(150条)法改正(R02.04.01)
 「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」
 「同2項 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」
改正点
・旧153条「催告は、六か月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事 事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない」とあったところ、「催告」のみで、時効の完成猶予となることを認めた。
・2項は、判例法理を明文化したもの
⇒「催告」とは、裁判外で、債権者が債務者に債務の履行を請求すること。
 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予(151条)法改正(R02.04.01新規)
 「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない」
@その合意があった時から1年を経過した時
Aその合意において当事者が協議を行う期間(1年に満たないものに限る)を定めたときは、その期間を経過した時
B当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
 「同2項 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて五年を超えることができない」
 「同3項 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた1項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする」
 「同4項 第1項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する」。
⇒1項3号の通知についても準用される。

 承認による時効の更新(152条)法改正(R02.04.01)
 「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」 
 「同2項 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない」
改正点
・1項は、旧147条3号「時効は承認によって中断する」から
・2項は、旧156条からそのまま移動。


@「承認」とは、取得時効の場合は「権利の不存在」を、消滅時効の場合は「権利の存在」を、時効の利益を受ける者が本来の権利を有する者に表示すること(観念の通知)をいい、形式は問わない。
A「承認」にあたる例。
・債務の一部、あるいは利息の一部を弁済した
・弁済の猶予を願い出た
・訴訟上の相殺を主張し、債務の承認されたものと認められる場合など
B2項に「処分についての行為能力の制限を受けていない」とあるから、財産処分の能力・権限を有しなくてももよいが、財産管理の能力・権限の制限があってはダメとも解される。
 たとえば、成年被後見人や未成年者が単独で承認しても、法定代理人はその承認を取り消すことができ時効の更新にはならない。
 時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲(153条)法改正(R02.04.01)
 「147条又は148条の規定による時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する」
 「同2項 149条から151条までの規定による時効の完成猶予は、完成猶予の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する」
 「同3項 前条の規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する」
⇒連帯保証人が債務を承認した場合、保証債務の時効は更新されるが、主たる債務者の時効更新には効力を及ばない。
改正点 改正前148条「時効の中断は、その中断の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する」からの移動と字句の修正
 「154条 法改正(R02.04.01)148条(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)1項各号又は149条(仮差押え等による時効の完成猶予)各号に掲げる事由に係る手続は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、148条又は149条の規定による時効の完成猶予又は更新の効力を生じない」
⇒強制執行(差押え等)、担保権の実行、競売、仮差押え、仮処分を、時効の利益を受ける者に対してしない場合でも、その者に通知をすれば、時効の完成猶予及び更新、又は時効の完成猶予のみの効力が発生する。(153条の例外規定である)
改正点 
・旧155条「差押え、仮差押得え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない」から。
 未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予(158条) 法改正(R02.04.01) 
 「時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、
 その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない」
 「2項 未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない」
改正点 
・タイトルを「未成年者又は成年被後見人と時効の停止」を「未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予」に(内容に変わりはない)
7
28
5
 催告後6か月以内に裁判上の請求をし、確定判決により権利が確定しないと、時効は更新されない。(R2改)(基礎)@
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正しい 誤り
02
28
2
 裁判によって権利を主張しても、その訴えが却下された場合には、時効は更新されない。(R2改)(基礎) @
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正しい 誤り
7
28
1
 時効は、裁判上の請求によって完成猶予となり、その訴えにつき却下または取下げがあった場合でも、時効の更新には影響ない。(R2改)(02-28-2の類型)@
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正しい 誤り
09
28
1
 改正前民法においては、時効中断後、時効中断事由が終了した時には、時効は新たに進行を開始するのではなく、時効中断時における残りの期間を経過することによって完成するとされていた。 (R2改)@
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正しい 誤り
02
28
3
 債権者が破産手続に参加すれば、その参加を取り消したり、その請求が却下された場合でも、時効は更新される。 (R2改)@
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正しい 誤り
21
28
E
 叔父は7年ほど前に重度の認知症になり後見開始の審判を受けました。配偶者である叔母が後見人となっていたところ、今年2月10日にこの叔母が急逝し、同年6月10日に甥の私が後見人に選任されました。
 就任後調べたところ、叔父が以前に他人に貸し付けた300万円の債権が10年前の6月1日に弁済期を迎えた後、未回収のまま放置されていることを知り、あわてて本年6月20日に返済を求めましたが、先方はすでに時効期間が満了していることを理由に応じてくれません。この債権について返還を求めることができる。@
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正しい 誤り














7
28
2
 請求による時効の完成猶予と更新は、原則として当事者およびその承継人の間においてのみその効力を生じる。(R2改)(基礎)@
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正しい 誤り
22
28
5
 A所有の甲地をB・Cの2人が占有して取得時効が完成しそうな場合に、AがBに対してだけ時効の更新の更新をしたときは、Bの取得時効のみが更新され、Cの取得時効は更新されることはない。(R2改)((7-28-2の応用)@
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正しい 誤り
21
28
A
 私は13年前、知人の債務を物上保証するため、私の所有する土地・建物に抵当権を設定しました。知人のこの債務は弁済期から11年が経過していますが、債権者は、4年前に知人が債務を承認していることを理由に、時効は完成していないと主張しています。
 民法によれば、時効の完成猶予又は更新は当事者及びその承継人の間においてのみその効力を有するとありますが、私は時効の完成を主張して抵当権の抹消を請求できると思う。(R2改)((7-28-2の発展)@
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正しい 誤り
22
28
1
 債務者Aの債権者Bに対する債務の承認によって被担保債権の時効が更新された場合に、物上保証人Cは、当該被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を否定することができない。(R2改)((21-28-Aの類型)@
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正しい 誤り
02
28
5
 被保佐人が保佐人の同意を得ずに債務を承認しても、時効は更新されない。@
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正しい 誤り
22
28
2
 物上保証人に対する抵当権の実行により、競売裁判所が競売開始決定をし、これを債務者に通知した場合には、被担保債権についての消滅時効は更新される。(R2改)@
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正しい 誤り













2.取得時効
2.1 所有権の取得時効(162条)
 「二十年間所有の意思をもって平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する」
 「同2項 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」
2.2 所有権以外の財産権の取得時効(163条)
 「所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する」
 ⇒物権としては地上権、永小作権、質権など、債権としては不動産賃借権など、無体財産権としては著作権、特許権などが該当
19
27
2
 AがB所有の土地をCに売却した場合において、Cは、悪意または有過失であっても、20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然とBの土地を占有継続すれば、Cは土地の所有権を時効取得する。 @
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正しい 誤り
18
29
1
 Aは、B所有の土地をBの所有であると知りつつ所有の意思をもって平穏かつ公然に10年間占有した場合に、その土地の所有権を取得する。(19-27-2の類型)@
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正しい 誤り
29
30
1
 Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間はBが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間であった。この場合、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できない。(基礎)@
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正しい 誤り
23
28
1
 A所有の甲土地につき、20年間占有を継続してきたBが取得時効を援用した場合、取得時効の成立を否定するためには、Aの側において、他主占有事情の立証では足りず、Bの占有が賃借権など他主占有権原に基づいて開始された旨を実証しなければならない。(発展) @
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正しい 誤り
29
29
 一筆の土地の一部について、所有権を時効によって取得することは認められる。(発展) @
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09
28
2
 取得時効の対象となるのは所有権だけであり、所有権以外の物権および債権は、対象とはならない。(基礎) @
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29
30
3
 Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間はBが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間であった。この場合、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できない。(基礎)@
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23
28
2
 A所有の乙土地につき、Bが5年間占有した後にCがこれを相続して、さらに10年間占有を継続した時点において、CがBの占有と併合して取得時効を援用した場合、C自身が占有開始時に悪意であったときは、Bが占有開始時に善意であり、かつ無過失であったとしても時効取得は認められない。(発展)@
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4
 Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間はBが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間であった。この場合、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できない。(23-28-2の類型)@
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正しい 誤り
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5
 Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間はBが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間であった。この場合、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できない。(29-30-4の類型)@
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正しい 誤り
29
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2
 Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間はBが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間であった。この場合、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できない。(29-30-3の類型)@
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3.消滅時効
3.1 債権等の消滅時効(166条)法改正(R02.04.01)
 「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する」
@債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
A権利を行使することができる時から10年間行使しないとき

 「同2項 法改正(R02.04.01追加)債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する」

 「同3項 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる」
改正点
@1項:
 
1号:新規
 
2号:旧167条1項から。
A2項:旧167条2項から
B3項:旧166条2項から

@権利を行使することができる時:客観的起算点
 権利を行使することができることを知った時:主観的起算点
A主観的起算点から「5年間行使しないとき」を新設することにより、従来からあった短期消滅時効は廃止。
 消滅時効の起算点
債権の種類 消滅時効の客観的起算点
 確定期限付き債権  期限到来時
 不確定期限付き債権  期限到来時
 停止条件付き債権  条件成就時
 期限の定めのない債権   債権の成立時
   ただし、期限の定めのない貸金債権については、消費貸借債権成立時から相当期間経過後とする説もある。
 債務不履行による損害賠償請求権  本来の債務の履行を請求しうる時 
 不法行為に基づく損害賠償請求権  不法行為による損害と加害者を知ったとき(主観的起算点で、消滅時効は3年)

3.2 その他の消滅時効
 人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効(167条法改正(R02.04.01
 「人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする」
 定期金債権の消滅時効(168条法改正(R02.04.01)
 「定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する」
@債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から十年間行使しないとき。
A前号に規定する各債権を行使することができる時から二十年間行使しないとき。
改正点
 
改正前においては、「第1回の弁済期から20年間、最後の弁済期から10年間行使しないときは消滅する」とあったところ、
@号:「定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができること」とは、もとになる基本権に基づき、「各月毎など決められた支払時期に支払いを請求することができること(支分権)」であり、そのことを知ったときという主観的起算点を定めて、その時から10年行使しないときは、基本権そのものが消滅することに。
A号:@号の支分権を行使することができる時(客観的起算点)から20年行使しないときは、基本権そのものが消滅することに。

 判決で確定した権利の消滅時効(169条) 法改正((R02.04.01)
 「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする」

 「同2項 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない」
改正点 旧ウ174条の2において
・1項は字句の微修正
・2項は、改正なし

・この度の法改正により、職業別の短期消滅時効の規定は削除された。
・ただし、「権利が行使できることを知ったとき(主観的起算点)から5年」という規定が設けられている。
 この場合であっても、「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利」についての消滅時効は更新され、以後10年となる。
5
29
4
 債務不履行の場合の損害賠償請求権は主観的起算点から10年で時効により消滅するが、不法行為の場合の損害賠償請求権は主観的起算点から3年で時効により消滅する。(R02改)(基礎)@
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23
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3
 Aから丙土地を購入したBが、その引渡しを受けてから10年以上が経過した後に、契約の内容に適合しないところがあることを発見し、Aに対して契約不適合責任に基づく損害賠償を請求した場合、Aは消滅時効を援用してこれを拒むことができる。(R02改)(応用)@
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23
28
4
 BはAからある物品を購入したが、品質に関して契約の内容に適合しない品物が引き渡された場合、Bがそれを理由としてAに対して損害賠償を請求する場合には、品質の不適合を知った時から1年以内に、Aに対して不適合の内容を具体的に明示しなくても、その存在を通知すれば、同請求権は時効により消滅することはない。(R02改)、(発展)@
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C
 30年程前に私の祖父が亡くなりました。祖父は唯一の遺産であった自宅の土地・建物を祖父の知人に遺贈したため、相続人であった私の父は直ちに遺留分を主張して、当該土地・建物についての共有持分が認められたのですが、その登記をしないまま今日に至っています。
 このたび父が亡くなり、父を単独相続した私が先方に共有持分についての登記への協力を求めたところ、20年以上経過しているので時効だといって応じてもらえません。
 しかし、私は移転登記を求めることができると思う。(発展)@
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09
28
3
 期限の定めのない債権の消滅時効は、債権者が相当の期間を定めて催告し、その期間が経過した時から進行する。(基礎)@
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正しい 誤り
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28
4
 債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、債務の履行が不能になった時から進行するとするのが判例の立場である。(応用)@
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09
28
5
 確定判決により確定し、かつ確定当時に既に弁済期の到来している債権の消滅時効期間は、その債権が5年の消滅時効に係る債権であっても、10年である。(R02改)@
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