行政書士講座(民法)

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6C 民   法 (後 見、 補 佐、 補 助)
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関連条文 後見の開始(838条)、未成年後見人の指定(839条)、未成年後見人の選任(840条)、成年後見人の選任(843条)、後見人の辞任(844条)、辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求(845条)、後見人の解任(846条)、後見人の欠格事由(847条)
 後見監督人の選任(849条)、後見監督人の欠格事由(850条)、後見監督人の職務(851条)、財産の調査及び目録の作成(853条) 、未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務(857条)、未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等(857条の2)、成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮(858条)、財産の管理及び代表(859条)、後見監督人の同意を要する行為(864条865条)
 保佐の開始(876条) 、保佐人及び臨時保佐人の選任等(876条の2)、保佐監督人(876条の3)、保佐人に代理権を付与する旨の審判(876条の4
 補助の開始(876条の6)、補助人及び臨時補助人の選任等(876条の7)
 補助監督人(876条の8)、
 保助人に代理権を付与する旨の審判(876条の9)

 

 

 

 

 

1.後見
1.1 後見の開始(838条)
 「後見は、次に掲げる場合に開始する」
 @未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
 A後見開始の審判があったとき。
 後見開始の審判については、こちらを
1.2 未成年後見人の指定(839条)
 「未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。
 ただし、管理権を有しない者は、この限りでない」
 未成年後見人の選任(840条) 改正(H24.04.01 2項、3項新設)
 「前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする」
 「同2項 未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる
⇒未成年後見人は複数でもよいことになった。
 「同3項 未成年後見人を選任するには、未成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない」
⇒法人を未成年後見人にすることができるようになった。
 参考 未成年後見人の数(旧842条) 改正(H24,04,01削除)
 「未成年後見人は、一人でなければならない」  
 未成年後見人が数人ある場合の権限の行使等(857条の2) 改正(H24.04.01新設)
 「未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使する」
 「同2項 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、その一部の者について、財産に関する権限のみを行使すべきことを定めることができる」
 「同3項 未成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、財産に関する権限について、各未成年後見人が単独で又は数人の未成年後見人が事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる」
 「同4項 家庭裁判所は、職権で、前2項の規定による定めを取り消すことができる」
 「同5項 未成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その1人に対してすれば足りる」
1.3 成年後見人の選任(843条)
 「家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する」
 「同2項 成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で、成年後見人を選任する」
 「同3項 成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる」
 「同4項 成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない」 
 後見人の辞任(844条)
 「後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる」
 辞任した後見人による新たな後見人の選任の請求(845条)
 「後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない」
 後見人の解任(846条)
 「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる」 
 後見人の欠格事由(847条)
 「次に掲げる者は、後見人となることができない」
 @未成年者
 A家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
 B破産者
 C被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
 D行方の知れない者  
1.4 後見監督人
 後見監督人の選任(849条)改正(H24.04.01)
 「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被後見人、その親族若しくは後見人の請求により又は職権で、後見監督人を選任することができる」
⇒基本的には、成年後見人を監督するのは裁判所であるが、成年後見人による不正行為によって被後見人の財産が奪われるなど不利益が生じないようにするため、裁判所がしかるべき者を後見監督人に選任して、裁判所業務をサポートしてもらおうとする制度である。
 成年被後見人本人からの請求や、裁判所の職権によっても任命できることにも注意を。
  後見監督人の欠格事由(850条
 「後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない」
 後見監督人の職務(851条)
 「後見監督人の職務は、次のとおりとする」
 @後見人の事務を監督すること。
 A後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
 B急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
 C後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。
1.5 後見の事務
 財産の調査及び目録の作成(853条)
 「後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一箇月以内に、その調査を終わり、かつ、その目録を作成しなければならない。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができる」
 未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務(857条)
 「未成年後見人は、820条から823条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない」 
 成年被後見人の意思の尊重及び身上の配慮(858条)
 「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」
 財産の管理及び代表(859条
 「後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する」
 「2項 824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する」
⇒被後見人の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない」
 後見監督人の同意を要する行為(864条
 「後見人が、被後見人に代わって営業若しくは13条1項各号(保佐人の同意を要する行為等)に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項1項1号に掲げる元本の領収については、この限りでない」
 「865条  前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、20条(制限行為能力者の相手側の催告権)の規定を準用する」










23
35
3
 未成年後見については、未成年者に対し親権を行う者がないとき、または親権を行う者が管理権を有しないときに後見が開始し、成年後見については、後見開始の審判があったときに後見が開始する。(基礎)

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正しい 誤り
30
35
1
 未成年後見は、未成年者に対して親権を行う者がないときに限り、開始する。(23-35-3の類型)

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正しい 誤り

2
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1
 未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。(23-35-3の類型)

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正しい 誤り
23
35
1
 未成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、さらに別の未成年後見人を選出することができる。(基礎)

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正しい 誤り
30
35
2
 未成年後見人は自然人でなければならず、家庭裁判所は法人を未成年後見人に選任することはできない。

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正しい 誤り
成年後見人 17
24
 自然人ばかりでなく法人も、成年後見人になることができるが、株式会社等の営利法人は、成年後見人になることはできない。(応用)

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正しい 誤り
24
27
3
 成年後見人は、正当な事由があるときは、成年被後見人の許諾を得て、その任務を辞することができるが、正当な事由がないときでも、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。(応用)

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正しい 誤り
30
35
4
 成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に関する事務を行う義務のほか、成年被後見人が他人に損害を加えた場合において当然に法定の監督義務者として責任を負う。

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正しい 誤り
後見監督人 27
27ア
 家庭裁判所が後見開始の審判をするときには、成年被後見人に成年後見人を付するとともに、成年後見人の事務を監督する成年後見監督人を選任しなければならない。(基礎)

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正しい 誤り
30
35
5
 後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。

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正しい 誤り
23
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2
 後見人と被後見人との利益が相反する行為については、後見監督人がある場合でも、後見人は、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。(応用)

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正しい 誤り















2.補佐及び補助
 保佐の開始(876条)
 「保佐は、保佐開始の審判によって開始する」
 補佐開始の審判については、こちらを
  保佐人及び臨時保佐人の選任等(876条の2)
 「家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する」
 「2項 843条2項から4項(成年後見人が欠けたとき、必要であると認めるとき、成年後見人となる条件)及び844条から847条まで(後見人の辞任、辞任した後見人による選任の要求、後見人の解任、後見人の欠格事由)の規定は、保佐人について準用する」
 「3項 保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない」
 保佐監督人(876条の3
  「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で、保佐監督人を選任することができる」
  保佐人に代理権を付与する旨の審判(876条の4
 「家庭裁判所は、11条本文に規定する者(本人、配偶者等)又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる」
 「2項 本人以外の者の請求によって前項の審判をするには、本人の同意がなければならない」
チョッと補足
@同意権:保佐開始の審判があると, 被保佐人が財産上の重要な行為等を行うには, 保佐人の同意が必要になる。(13条1項)
A取消権:上記@の裏返しとして、保佐人の同意を得べき行為を、同意なしで行った場合は 保佐人又は被保佐人が取り消すことができる。
B代理権:保佐開始の審判があれば、自動的に代理権(被補佐人に代わって法律行為を行う権利)が付与されるわけではない。別途にあるいは補佐開始の審判と同時に、「 代理権付与の申立て」を行い、代理権付与の審判がなされてはじめて、その審判で定められた特定の法律行為について代理権が認められる
⇒この場合、代理権の付与について、被保佐人本人が申立てを行うか、被保佐人本人が同意していることが必要。
C参考:
・補助人に場合も、特定された法律行為について、補佐人と同様の手続きにより代理権が認められる。
・成年後見人の場合は、後見開始の審判があれば包括的な代理権が与えられ、委任状も不要で、代理権を行使できる。 
 補助の開始(876条の6)
 「補助は、補助開始の審判によって開始する」
 補助開始の審判については、こちらを

@補助開始の審判を行っても、それだけでは同意権・代理権が付与されるわけではないので、補助開始の審判を行う場合は、同時に、同意権の付与代理権の付与のどちらか一方も行わなければならない(同時に双方とも行うこともできる)
 補助人及び臨時補助人の選任等(876条の7)
 「家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する」
 「2項 843条2項から4項(成年後見人が欠けたとき、必要であると認めるとき、成年後見人となる条件)及び844条から847条まで(後見人の辞任、辞任した後見人による選任の要求、後見人の解任、後見人の欠格事由)の規定は、補助人について準用する」
 「3項 補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない」
 補助監督人(876条の8
 「家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被補助人、その親族若しくは補助人の請求により又は職権で、補助監督人を選任することができる」
 保助人に代理権を付与する旨の審判(876条の9)
 「家庭裁判所は、15条1項本文に規定する者(本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官)又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる」   
 「2項 876条の4の2項(本人以外の者の請求による場合は本人の同意が必要)、3項の規定は、前項の審判について準用する」

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 保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。(基礎)

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正しい 誤り
27
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 家庭裁判所は、本人や保佐人等の請求によって、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができるが、本人以外の者の請求によってその審判をするには、本人の同意がなければならない。(令2-27-2の発展)

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正しい 誤り
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24
 補助人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、さらに補助人を選任することができる。

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正しい 誤り

2
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3
 家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。

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正しい 誤り