行政書士講座(民法)

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民   法 (地上権、永小作権、地役権、留置権、先取特権・物上代位、質権)

関連過去問  5-28-15-28-37-29-17-29-27-29-314-28-218-35-519-30-ア19-30-イ19-30-ウ19-30-エ19-30-オ21-32-ア22-28-322-28-424-29-424-29-525-29-125-29-426-29-ウ26-30-326-30-427-30-127-30-227-30-327-30-428-30-128-30-228-30-328-30-428-30-529-29-ア29-29-オ29-33-229-33-3令元-30-ア令元ー30-イ令元ー30-ウ令元ー30-オ令元ー31-1令元ー31-2令元ー31-4令元ー31-5令2-28-イ令2-28-ウ令2-28-エ令3-30-1令3-30-2令3-30-3令3-30-4令3-30-5





















1.1 地上権
 
地上権の内容(265条)
 「地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する」
 相隣関係の規定の準用(267条
 「相隣関係の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、229条(境界標等の共有の推定)の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する」
 地上権の存続期間(268条
 「設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない」
 「同2項 地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、20年以上50年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める」
 工作物等の収去等(269条) 
  「地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができない」
 地下又は空間を目的とする地上権(269条の2
 「地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる」
  「同2項 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない」  


30
 Cが、地上権設定行為に基づいてA所有の甲土地上に丙建物を築造していたところ、期間の満了により地上権が消滅した場合において、Aが時価で丙建物を買い取る旨を申し出たときは、Cは、正当な事由がない限りこれを拒むことができない。

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正しい 誤り
29
29
 他人の土地の地下または空間の一部について、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権を設定することは認められない。

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正しい 誤り






























1.2 永小作権の内容(270条)
 「永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する」
1.3 地役権
 地役権の内容(280条)
 「地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。
  ただし、第3章第1節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る)に違反しないものでなければならない」
  ⇒「地役権」とは、自分の土地(要役地)の便益のために他人の所有する土地(承役地)を利用する権利のこと。
 たとえば、他人の土地を通行する、他人の土地に水路を開く、あるいは見晴らしを維持するために他人の土地であっても建物を建てないでくれとお願いするなど、契約によって内容を定める。
 地役権の付従性(281条)
 「地役権は、要役地(地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるものをいう。以下同じ。)の所有権に従たるものとして、その所有権とともに移転し、又は要役地について存する他の権利の目的となるものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」
 「同2項 地役権は、要役地から分離して譲り渡し、又は他の権利の目的とすることができない」
 地役権の不可分性(282条)
 「土地の共有者の一人は、その持分につき、その土地のために又はその土地について存する地役権を消滅させることができない」
 「同2項 土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない」
 地役権の時効取得(283条)
 「地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる」
163条にあるように、単に10年あるいは20年以上平穏かつ公然と地役権を行使続けただけではだめである。時効取得できるのは、自らの費用で通路を作ってそこを通る地役権、自らの費用で溝を掘って水を引き、それを利用する地役権など、継続的に使用されるものでかつ外形上それとわかるものでなければならない。
 「284条 土地の共有者の一人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する」
 「同2項 共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない」
 「同3項 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その一人について時効の完成猶予の事由があっても、時効は、各共有者のために進行する」
 地役権の消滅時効
 「291条 166条2項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する」
 「292条 要役地が数人の共有に属する場合において、その一人のために時効の完成猶予又は更新があるときは、その完成猶予又は更新は、他の共有者のためにも、その効力を生ずる」
 「293条  地役権者がその権利の一部を行使しないときは、その部分のみが時効によって消滅する」

 地役権は、一般に、取得はしやすく、消滅はし難くなる方向で規定されている。


30

  A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。この場合において、Bが、甲土地に乙土地からの排水のための地役権をA・B間で設定し登記していた場合において、CがAに無断で甲土地に丙建物を築造してその建物の一部が乙土地からの排水の円滑な流れを阻害するときは、Bは、Cに対して地役権に基づき丙建物全部の収去および甲土地の明渡しを求めることができる。 (発展)

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正しい 誤り


30
 A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。この場合において、A・B間で、乙土地の眺望を確保するため、甲土地にいかなる工作物も築造しないことを内容とする地役権を設定し登記していた場合において、Cが賃借権に基づいて甲土地に丙建物を築造したときは、Bは地役権に基づき建物の収去を求めることができる。

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30
  A所有の甲土地とB所有の乙土地が隣接し、甲土地の上にはC所有の丙建物が存在している。この場合において、甲土地が乙土地を通らなければ公道に至ることができない、いわゆる袋地である場合において、Cが、Aとの地上権設定行為に基づいて甲土地に丙建物を建築し乙土地を通行しようとするときは、Cは、甲土地の所有者でないため、Bとの間で乙土地の通行利用のため賃貸借契約を結ぶ必要がある。

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26
29
 A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。そして、甲土地に隣接する丙土地について、甲土地からの観望を損ねるような工作物を建造しないことを内容とする地役権が設定され、登記されていた。この場合、Aは、自己の持分については、単独で同地役権を消滅させることができるが、同地役権の全部を消滅させることはできない。

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正しい 誤り
24
29
5
 甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。
 Aが地役権に基づいて乙土地の一部を継続的に通路として使用している場合において、その後にCが通路の存在を認識しながら、または認識可能であるにもかかわらず認識しないでBから乙土地を承継取得したときは、Cは背信的悪意者に当たるので、Aの地役権設定登記がなされていなくても、AはCに対して通行地役権を主張することができる。(発展)

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24
29
4
 甲土地を所有するAは、甲土地に隣接するB所有の乙土地を通行している。
 Aは、少なくとも20年にわたって、自己のためにする意思をもって、平穏、かつ、公然と乙土地の一部を通行していれば、A自らが通路を開設していなくても、乙土地上に通行地役権を時効取得することができる。(発展),

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29
29
 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。 (24-29-4の類型)

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正しい 誤り
22
28
4
 甲地の共有者A・B・Cの3人が乙地の上に通行地役権を時効取得しそうな場合に、乙地の所有者Dは、A・B・Cのうち誰か1人に対して時効の中断をすれば、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。

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22
28
3
 要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力はA・B・Cの3人に及ぶ。

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 留














2.留置権
 留置権の内容(295条)
 「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。 ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない」
 「同2項 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない」
 留置権者による果実の収取(297条)
 「留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる」
 「同2項 前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない」
 留置権者による留置物の保管等(298条)
 「留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない」

@「善良なる管理者の注意義務」とは、その人の地位、職業などからみて一般的・客観的にもたなければならない程度の注意を払う義務のこと」であり、留置権者は留置権者として、一般的・客観的に要求される程度の注意を払う必要がある。
A自己のためにするのと同一の注意義務、自己の財産におけると同一の注意義務、固有財産におけるのと同一の注意義務:その人の性別・年齢、地位、職業など個々の具体的能力に応じた程度の注意を払う義務のこと。
 「同2項 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない」
 「同3項 留置権者が前2項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる」
 留置権の行使と債権の消滅時効(300条)
 「留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない」 
























使
7
29
1
 留置権は、その目的物の所有権が債務者から第三者に移転したときには、消滅する。(基礎)

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2
28
 留置権が成立するためには他人の物を占有することが必要であるが、この占有には、債務者を占有代理人とした占有は含まれない。

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正しい 誤り
25
29
4
 Aが自己所有の事務機器甲をBに売却する旨の売買契約が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。この場合において、Aが甲をまだBに引き渡していないときは、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、留置権を行使してこれを拒むことができる。(7-29-1の応用)

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正しい 誤り
27
30
1
 Aは自己所有の建物をBに売却し登記をBに移転した上で、建物の引渡しは代金と引換えにすることを約していたが、Bが代金を支払わないうちにCに当該建物を転売し移転登記を済ませてしまった場合、Aは、Cからの建物引渡請求に対して、Bに対する代金債権を保全するために留置権を行使することができる。

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3
30
4
 Aが自己所有建物をBに売却し登記をB名義にしたものの代金未払のためAが占有を継続していたところ、Bは、同建物をCに転売し、登記は、C名義となった。Cが所有権に基づき同建物の明渡しを求めた場合、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。  (27-30-1の類型)

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正しい 誤り
27
30
2
 Aが自己所有の建物をBに売却し引き渡したが、登記をBに移転する前にCに二重に売却しCが先に登記を備えた場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することができる。

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3
30
5
 Dが自己所有建物をEに売却し引渡した後、Fにも同建物を売却しFが所有権移転登記を得た。FがEに対して当該建物の明渡しを求めた場合、Eは、Dに対する履行不能を理由とする損害賠償請求権を被担保債権として当該建物を留置することができる。(27-30-2の類型)

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正しい 誤り
27
30
3
 AがC所有の建物をBに売却し引き渡したが、Cから所有権を取得して移転することができなかった場合、Bは、Cからの建物引渡請求に対して、Aに対する損害賠償債権を保全するために留置権を行使することはできない。

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正しい 誤り
27
30
4
 Aが自己所有の建物をBに賃貸したが、Bの賃料不払いがあったため賃貸借契約を解除したところ、その後も建物の占有をBが続け、有益費を支出したときは、Bは、Aからの建物明渡請求に対して、Aに対する有益費償還請求権を保全するために留置権を行使することはできない。

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正しい 誤り

3
30
3
  建物賃借人が賃料不払いにより賃貸借契約を解除された後に当該建物につき有益費を支出した場合、賃貸人による建物明渡請求に対して、賃借人は、有益費償還請求権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。(27-30-4の類型)

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21
32
 A・B間の家屋売買契約が解除されても、買主Aは解除前に支出した有益費の償還を受けるまで家屋を留置することができるが、Aは、留置中にこれを使用することにより、法律上の原因なく利得することとなるから、その利得を不当利得として返還する義務がある。(発展)

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令3
30
1
 留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有すべきであるが、善良な管理者の注意とは、自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものである。

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正しい 誤り

3
30
2
 留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物について使用・賃貸・担保供与をなすことができず、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を使用した場合、留置権は直ちに消滅する。

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債権の消滅時効 5
28
3
 留置権を行使していても、債権の消滅時効は中断しない。(基礎)

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正しい 誤り
29
33
2
 Aは自己所有の甲機械をBに賃貸し(以下、これを「本件賃貸借契約」という)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲機械の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。
 CがBに対して甲機械を返還しようとしたところ、Bから修理代金の提供がなかったため、Cは甲機械を保管することとした。Cが甲機械を留置している間は留置権の行使が認められるため、修理代金債権に関する消滅時効は進行しない。 (5-28-3の類型)

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3.先取特権
 先取特権の内容(303条)
 「先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」

@先取特権とは、法律で定められた特別の債権をもっている者が、その債務者に、他の債権者に優先して自自分の債権の弁済を受ける権利
A設定契約は不要。占有していなくてもよい。
B法律で定められた特別の債権とは、以下の理由から、法による特別な保護が必要とされる債権
・債権者間の実質的な公平を確保する必要性
・社会的弱者を守る必要性
・債権者の通常の期待。
C先取特権には、「一般の先取特権」、「動産の先取特権」、「不動産の先取特権」がある。 
一般の先取特権 3.1 一般の先取特権
 一般の先取特権(306条
 「次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の総財産について先取特権を有する」
@共益の費用
A雇用関係
B葬式の費用
C日用品の供給
⇒競合する場合の優先順位は上記の順(329条)
 共益費用の先取特権(307条
 「共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する」
 「2項 前項の費用のうちすべての債権者に有益でなかったものについては、先取特権は、その費用によって利益を受けた債権者に対してのみ存在する」
  雇用関係の先取特権(308条
 「雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する」
⇒給料は、会社等に対して、他の債務に優先して請求できる(労働者保護)
 葬式費用の先取特権(309条
 「葬式の費用の先取特権は、債務者のためにされた葬式の費用のうち相当な額について存在する」
 「2項 前項の先取特権は、債務者がその扶養すべき親族のためにした葬式の費用のうち相当な額についても存在する」。
 日用品供給の先取特権(310条)
 「日用品の供給の先取特権は、債務者又はその扶養すべき同居の親族及びその家事使用人の生活に必要な最後の6か月間の飲食料品、燃料及び電気の供給について存在する」
⇒スーパー等が6か月間の飲食料品を供給した場合、債務者に対して他の債務に優先して支払うよう請求できる(ので、安心して供給しやすくなるはず) 
























3.2 動産の先取特権(311条)
 「次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する」
 @不動産の賃貸借
 A旅館の宿泊、
 B旅客又は荷物の運輸、
 C動産の保存
 D動産の売買
 E種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む)の供給、
 F農業の労務、
 G工業の労務
⇒競合する場合の優先順位は330条
 不動産賃貸の先取特権(312条)
 「不動産の賃貸の先取特権は、その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する」
 不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲(313条)
 「土地の賃貸人の先取特権は、その土地又はその利用のための建物に備え付けられた動産、その土地の利用に供された動産及び賃借人が占有するその土地の果実について存在する」
 「2項 建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する」
 「314条 賃借権の譲渡又は転貸の場合には、賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。譲渡人又は転貸人が受けるべき金銭についても、同様とする」
 不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲(315条
 「賃借人の財産のすべてを清算する場合には、賃貸人の先取特権は、前期、当期及び次期の賃料その他の債務並びに前期及び当期に生じた損害の賠償債務についてのみ存在する」
 「316条 賃貸人は、622条の2の1項に規定する敷金を受け取っている場合には、その敷金で弁済を受けない債権の部分についてのみ先取特権を有する」
 即時取得の規定の準用(319条)
 「192条から195条まで(即時取得、盗品又は遺失物の回復など)の規定は、312条から318条までの規定による先取特権について準用する」
 動産保存の先取特権(320条
 「動産の保存の先取特権は、動産の保存のために要した費用又は動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その動産について存在する」
⇒「動産の保存のため」:維持、管理、修理などに要した費用
 「動産に関する権利の保存等」:時効取得されそうな場合に時効中断させる、占有者に所有権を承認させるなどに要した費用 
 動産売買の先取特権(321条)
 「動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する」   
19
30
 Aは、Bから建物を賃借し、その建物内に電気製品等を備え付けている。 
 Aが、Bの承諾を得て、その建物をEに転貸した場合に、Bの先取特権は、Eの備え付けた動産には及ばない。

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正しい 誤り
29
33
3
 Aは自己所有の甲機械をBに賃貸し(以下、これを本件賃貸借契約という)、その後、本件賃貸借契約の期間中にCがBから甲機械の修理を請け負い、Cによる修理が終了した。 CはBに対して甲機械を返還したが、Bが修理代金を支払わない場合、Cは、Bが占有する甲機械につき、動産保存の先取特権を行使することができる。

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18
35
5
 Aは、自己が所有する甲建物に居住していたところ、Bと婚姻後においても、同建物にA・Bで同居することになった。その後、A・Bが離婚をした場合において、AまたはBがその相手方に対して財産の分与を請求することができるときに、その請求権を有する者は、甲建物内に存する動産について先取特権を有する。
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正しい 誤り
即時取得 19
30ア
 Aは、Bから建物を賃借し、Aは、その建物内に電気製品等を備え付けている。
 その電気製品等がCの所有物である場合に、電気製品等について、Bは、先取特権を即時取得することはできない。

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3.3 不動産の先取特権(325条)
 「次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の不動産について先取特権を有する」
 @不動産の保存、
 A不動産の工事、
 B不動産の売買
⇒競合する場合の優先順位は上記の順(331条)
 不動産保存の先取特権(326条
 「不動産の保存の先取特権は、不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する」
⇒不動産の保存とは、建物の修繕、石垣の補修などその不動産の価値を維持すること、あるいはその不動産に関する権利を守ること。
 不動産工事の先取特権(327条
 「不動産の工事の先取特権は、工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する」
 「2項 前項の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する」
 不動産売買の先取特権(328条)
 「不動産の売買の先取特権は、不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する」
28
30
2
 不動産工事の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増価額についてのみ存在する。

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  3.4 先取特権の順位・効力
 一般の先取特権の順位(329条
 「一般の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、306条号に掲げる順序に従う」
 「2項 一般の先取特権と特別の先取特権とが競合する場合には、特別の先取特権は、一般の先取特権に優先する。ただし、共益の費用の先取特権は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する」
  動産の先取特権の順位(330条)
 「同一の動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、次に掲げる順序に従う。この場合において、第2号に掲げる動産の保存の先取特権について数人の保存者があるときは、後の保存者が前の保存者に優先する」
 @不動産の賃貸、旅館の宿泊及び運輸の先取特権
 A動産の保存の先取特権
 B動産の売買、種苗又は肥料の供給、農業の労務及び工業の労務の先取特権
 「2項 前項の場合において、第一順位の先取特権者は、その債権取得の時において第二順位又は第三順位の先取特権者があることを知っていたときは、これらの者に対して優先権を行使することができない。第一順位の先取特権者のために物を保存した者に対しても、同様とする」
  不動産の先取特権の順位(331条
 「同一の不動産について特別の先取特権が互いに競合する場合には、その優先権の順位は、325条各号に掲げる順序に従う」
@不動産の保存、A不動産の工事、B不動産の売買
 先取特権と第三取得者(333条)
 「先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない」  
⇒動産を第三取得者に引き渡した後では、その動産を差し押さえることはできないが、物上代位304条により、代金請求権を差押えることはできる。
  不動産保存の先取特権の登記(337条)
 「不動産の保存の先取特権の効力を保存するためには、保存行為が完了した後直ちに登記をしなければならない」
  不動産工事の先取特権の登記(338条
  「不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない」
 登記をした不動産保存又は不動産工事の先取特権(339条
  「前二条の規定に従って登記をした先取特権は、抵当権に先立って行使することができる」
 不動産売買の先取特権の登記(340条
 「不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない」
 抵当権に関する規定の準用(341条
 「先取特権の効力については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、抵当権に関する規定を準用する」
先取特権と
順位
19
30

 
 Aは、Bから建物を賃借し、その建物内で使用しようとして電気製品等をCから買ったが、まだCに対して代金の支払いがない場合において、その電気製品等についてCの先取特権がBの先取特権よりも優先する。

解説を見る

正しい 誤り
28
30
5
 同一の不動産について不動産保存の先取特権と不動産工事の先取特権が互いに競合する場合、各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。

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正しい 誤り
先取特権と第三取得者 19
30
 Aは、Bから建物を賃借し、その建物内に電気製品等を備え付けている。
 Aがその所有物である電気製品等をDに売って引き渡した場合に、電気製品等について、Bは、先取特権を行使することができない。

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正しい 誤り
25
29
1
 Aが自己所有の事務機器甲をBに売却する旨の売買契約が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。この場合において、 Aが甲をすでにBに引き渡しており、さらにBがこれをCに引き渡した場合であっても、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、甲につき先取特権を行使することができる。

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正しい 誤り

2
28ウ
 先取特権の目的動産が売買契約に基づいて第三取得者に引き渡されると、その後は先取特権を当該動産に対して行使できないこととなるが、この引渡しには、現実の移転を伴わない占有改定による引渡しは含まれない。

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不動産
先取特権と
登記
28
30
1
 不動産の保存の先取特権は、保存行為を完了後、直ちに登記をしたときはその効力が保存され、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先する。

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正しい 誤り
28
30
3
  不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に、不動産の代価またはその利息の弁済がされていない旨を登記したときでも、同一不動産上に登記された既存の抵当権に優先しない。

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正しい 誤り
28
30
4
 債権者が不動産先取特権の登記をした後、債務者がその不動産を第三者に売却した場合、不動産先取特権者は、当該第三取得者に対して先取特権を行使することができる。

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3.5 物上代位(304条)
 「先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。
 ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」 

 物上代位とは
@物を売買したが、買主が代金を弁済できなくなった場合は、売主の代金請求権に先取特権が認められ、買主が持っている他の財産から優先的に弁済を受けることができる。
A上記において、売主が先取特権を行使する前に、その品物を第三者に売却してしまった場合は、売主が受けるべき代金に対して、もとの売主は先取特権を行使できる。(物上代位)
 買主がその品物を第三者に賃貸した場合の賃貸料、第三者が破損させた場合の損害賠償金や代替品などに対しても先取特権を行使できる。(これを物上代位という)
 ただし、売主は原則として、買主がこれらの金銭あるいは品物を受け取る前に差押えしなければならない。
B物上代位は、質権、抵当権についても認められている。
7
29
3
 先取特権の目的物が賃貸されていたことにより、債務者が金銭を得ている場合でも、当該金銭に対しては、先取特権を行使することができる。(基礎)

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正しい 誤り
19
30
 Aは、Bから建物を賃借し、その建物内に電気製品等を備え付けている。
 Aがその所有物である電気製品をDに売った場合に、Aの取得する売買代金について、Bは、Dの支払い前に差押えをすれば、先取特権を行使することができる。(7-29-3の類型)

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正しい 誤り
26
30
3
 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。(類似問題26-30-1)

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26
30
4
 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。(発展)

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4.質権
 質権の内容(342条)
 「質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」

・「質権者」:担保に供せられた債権の債権者
・「債務者又は第三者(ここでは物上保証人)」:質権の設定者
 物上保証人とは、他人の債務を保証してやるために質権、抵当権を設定した者
・「受け取った物を占有」:抵当権の場合は占有を移さないことに注意を。
 質権の目的(343条)
 「質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない」
 質権の設定(344条)
 「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」

@質権設定契約は要物契約である。
A「引渡し」:現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転はOK。
  占有改定は、質権設定者の手元に質物が残ったままになるので、345条によりダメ。
 質権設定者による代理占有の禁止(345条)
 「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」
 質権の被担保債権の範囲(346条)
 「質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない」
 留置権及び先取特権の規定の準用(350条)   
 「296条から300条まで及び304の規定は、質権について準用する」
 物上保証人の求償権(351条)
 「他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する」

4.1 動産質
 動産質の対抗要件(352条
 「動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない」
⇒「占有」を失えば、第三者に対抗できなくなるが、質権そのものを失うわけではない。
⇒「占有」は代理占有(181条)(賃貸人など他人に所持させることにより、本人が占有を取得する)でも構わない。ただし、345条により、質権設定者による代理占有はだめ。

 質物の占有の回復(353条)
 「動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる」
4.2 不動産質
 不動産質権者による使用及び収益(356条
 「不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる」

@質権者は原則として、質物を使用収益することはできない。
 350条により、298条(留置権者による留置物の保管義務等)が準用されているためである。
A不動産質に限っては、不動産の有効活用の観点等から、使用・収益(果実収取、賃借などを含む)が認められている。
 「その不動産の用法に従い」とあるから、畑地を住宅用に利用するなどは許されない。
 不動産質権者による管理の費用等の負担(357条
 「不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う」
 不動産質権者による利息の請求の禁止(358条
 「不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない」
 設定行為に別段の定めがある場合等(359条
 「前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法180条2号に規定する担保不動産収益執行の開始があったときは、適用しない」
 抵当権の規定の準用(361条
 「不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する」
4.3 権利質
 権利質の目的等(362条
 「質権は、財産権をその目的とすることができる」 
 「2項 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する」
 債権を目的とする質権の対抗要件(364条
 「債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む)は、467条(指名債権の譲渡の対抗要件)の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない」 
7
29
2
 差押えが禁じられている物を目的として、質権を設定することはできない。(基礎)

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5
28
1
 質権は、質権設定者がその目的物を質権者に引き渡さなくてもその効力を生ずる。(基礎)

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2
28
 質権が成立するためには目的物の引渡しが必要であるが、この引渡しには、設定者を以後、質権者の代理人として占有させる、占有改定による引渡しは含まれない。(5-28-1の類型)

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14
28
2
 動産の質権者が占有を奪われた場合、占有回収の訴えによって質物を取り戻すことができるほか、質権にもとづく物権的請求権によっても質物を取り戻すことができる

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正しい 誤り


31
1
 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができず、また、質物の占有を第三者によって奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。(14-28-2の類型)

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31
2
  不動産質権は、目的不動産を債権者に引き渡すことによってその効力を生ずるが、不動産質権者は、質権設定登記をしなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。(基礎)

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31
4
 不動産質権者は、設定者の承諾を得ることを要件として、目的不動産の用法に従ってその使用収益をすることができる。

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権利質

31
5
 質権は、債権などの財産権の上にこれを設定することができる。

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